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ファイテンヒストリー

番外編:アクアメタル誕生秘話

チタンという素材は生体適合性も良く、人が肌につける商品にはぜひとも使いたい素材でした。最初はチタンを細かく粉状にしてテープなどに使っていましたが、使い勝手はあまり良くありませんでした。染料として使えないのがネックだったわけです。ただ水に溶けたら凄く便利だと思っていました。
染剤として使えたら、糸に染めつけることができますし、糸というカタチになれば、サポーターでも服でもテープでも、とにかく用途が格段に広がります。ファイテンがステージをあげるために私の頭は「チタンを水に溶かそう!」になっていました。


アクアチタン(左)とアクアゴールド(右)

私たちは、科学者としてまったくの素人です。ですが、それが好都合でした。当社の開発スタッフは、私が言ったことは絶対にできると思ってくれています。「社長、チタンは水にどうやったら溶けるのでしょうか?」と質問を受けた時、「この世の中に溶けないものはないからチャレンジしてみろ」と言ったところ、素直に実現できると信じて失敗とチャレンジを繰り返し、チタン水溶化の研究に打ち込みました。
ある時出張中の私の携帯が鳴り、「社長、チタンが水に溶けました」と連絡がきました。その時は「まさか、勘違いじゃないのか」と思って研究所に戻ったら、彼らは見事に「コバルトブルーのチタン水溶液」を目の前に作っていました。とにかく検査機関にもこのブルーの溶液を提出して検査の結果を待ちました。結果は、間違いなくチタンが水に溶けていることが確認できました。この画期的は発明だとして当然パテントも申請に行きましたが、特許庁からはチタンが水に溶けるはずがないと最初は門前払い。しかし検査データの結果がありますので、最後は「超微粒子分散水」として認めてくれました。
私たちは余計な知識がないから、どんなに行き詰まっても「万事休す」がありませんでした。だからこそ、知識がある人には「そんなこと出来るはずがない」と言われるようなチタンの水溶化にチャレンジできたのだと思います。この経験から常識がないからこそ、新たな発明が生まれてくることを実感しました。素人の力というのは絶大だと思います。


ファイテンの謎(角川書店)

チタン水溶化は何故できたのか?姿勢の面では前説に述べたことになりますが、具体的には企業のブラックボックスもありますので、数年前角川書店の「ファイテンの謎」という書籍の取材を受けた時に話したことを引用させていただきます。
チタンは水に溶けないということは科学的な技術ですから、つまり、ファイテンにはチタンを水に溶かす「秘密」の技術があるということになります。タンクのような装置の中にチタンを入れて、水素ガスと酸素ガスをノズルで当てて、爆発を起こします。するとチタンが砕けます。爆発で粉砕されても大きな塊はそのまま沈殿します。が、そのごく一部が水の中に混ざります。
原理はスペースシャトルの燃料機構と一緒です。もちろんノズルから出す勢いや、水素と酸素ガスの割合といったディテールは企業秘密になります。水素と酸素が爆発をして結合するとH2O(水)になりますが、そこでうまく水の中にチタンが微分散をすれば、水がチタンに溶けている状態になります。薬品を用いず、まったくチタンと水だけが混ざった液体ができあがります。それがアクアチタンです。


ファイテンの水溶化メタル技術

この技術を応用して、「金を水溶化したアクアゴールド」「銀を水溶化したアクアシルバー」「パラジウムを水溶化したアクアパラジウム」の新素材を次々と生み出しファイテンの商品に活用していきました。この水溶化メタル技術の進化にともなって現在では、京都府立医科大学の吉川敏一学長を代表とするアクアメタル研究会が立ち上がり、アクアチタンに対する研究の世界論文も発表されています。
私たちのチャレンジは、想像もしていない領域までに発展しています。この喜びを胸にまだまだ新素材の研究に打ち込み、世の中の皆様をあっと言わせることをご提案していきたいと考えています。世の中にないものを創造するのは、本当に楽しくてわくわくします。

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